石井義典

9月 21st, 2016

石井義典と魚

石井義典は、ロンドンに始めて懐石料理を紹介した人物です。
2010年の夏に、海外の市場を歩きながら幻滅したそうです。

その理由の一つは、市場に並べられているたくさんの魚の中には、どれ一つお刺身にできるような魚がなかったからだと言います。
彼は市場を始め、流通の現場を細かく回っていき最終的には漁師町にまでたどり着いています。
そしてそこで釣船に乗って思ったそうです。

魚は確かにこの海でたくさん釣れますが、そのあと漁港についてからでは生では食べることができないのであれば、ここで生け締めをしてもらうことでお刺身として食せる坂になるのではないかと。
生け締めというのは、生きたままの魚自体に包丁を入れていくものです。
魚を釣ったらすぐに血を抜くことで、魚の中にいる微生物の繁殖を抑える効果があります。

この方法は、日本では当たり前の行為として漁師たちは行っています。
しかし海外では、こうした手法はまったく受け入れられなかったのです。

日本人の考えは受け入れられないと言うことでしたが、彼は根気強く生け締めの方法を彼らに伝授していきました。
こうした石井義典の強い説得もあって、生け締めを行ってもらうようになりましたし、西洋の料理においてシェフたちを対象にして講習会も開いています。

彼が生け締めを教えた漁師をはじめ料理人たちは4年ほどで、その人数も500人以上になっています。
この生け締めをした処理方法を行っていくだけで、英国全体で料理されている魚料理がとても質の高いものになっていきますし、その料理の質があがることで、魚を食べる人も自然に増えていきます。
彼はこうして魚料理をよりよい料理にしていくことで、皆が幸せになれるという考えをもっています。

何でも自分でこなす理由

石井義典は、料理だけではなくそれを盛り付けるお皿なども自分で作っていますしお店の花は必ず自分で生けることにしています。
彼自身が料理を作るうえで、その料理にあった器やレストランの雰囲気も全体的なまとまりを持たせることで、食事にくるお客さんも癒されて美味しく料理を食べられるといったことに気を配っています。
和の文化を多くの人に伝えたとして、英国のメディアは彼の呼び名として「カイセキイング」としました。

過去には、全く見向きもされなかった生の魚料理ですが、彼の根気強い活動で今では生け締めにした天然の魚、サバやヒラメ、タイなどがロンドンで食べられるようになりました。
彼が英国の地で広めた、「生け締め」の手法を受け入れた漁師や料理人たちは、それぞれ懐石料理のすばらしさも認めているようですし、生け締めにすることで魚本来の旨味も保たれることを知りました。