1. >
  2. >
  3. 味は盗むもの?

味は盗むもの?

理とは体ではなく舌で覚える

料理は美味しければ良い、というものではありません。お店によって味が違い、お客さんはそのお店の味を楽しみにしてくるものです。そのため、私たちは料理長の支持のもと、しっかりとその味になるように料理を作っていかなければなりません。

料理長によって、料理の方針はがらりと変わってくるものです。そして、お客さんに満足してもらうためにも、料理の味は少しずつ改良されていきます。新人は、調理場の方針を体に叩き込まなくてはなりません。

私の舌は化学調味料に染まっていたので、毎日歯磨きをする時に舌をブラッシングしています。時々オェッってしますけど、我慢我慢。おかげで隠し味にも気付けるようになってきましたので、これで少し前進出来たのではないかと思います。先輩曰く、「料理とは体ではなく、舌で覚えるものだ。

レシピを丸暗記すれば、そこそこ美味しい料理は出来る。しかし、一流はその上を行く。」だそうです。舌が肥えたセレブを満足させる料理は、ある意味常識を打ち破る考えが必要だそうです。

味は、盗まれても怒ってはいけないものです。むしろ、よく頑張ったとその人をほめてあげるくらいでちょうどいいのです。昔の親方は、みな怖い人たちばかりでした。

彼らから技術を盗むのは至難の業ですが、それでも名店の味を再現するためには、とても怖い思いをしてでも、彼らに技術を教えてもらうことが大切だと考えましょう。

いつでもどこでもその味

味は秘伝の極意と同じようなものです。いくら門下生とはいえ、素人同然の相手にヨイソレと自分の秘密を公開してしまっては、ライバル店に秘伝が流れてしまうかもしれません。そこで、平成の世でも、味は舌で盗むものという概念が定着しているのです。

最近、私は創作料理にチャレンジしています。鍋底のソースをこっそり持ち帰ってパスタにかけたり、お客様の食べ残しを拝借して、風味を鼻で嗅いだりしています。ばれたら懲戒ものですね。これも修行のためですので、ご容赦願います。

さて、どうして味を盗まなければならないのか。それは、作り手が突然いなくなるからです。仕事をやめたり、病気や怪我、もろもろの事情で職場を離れた時、残った人間が、味を再現しなくてはならないのです。これが、毎日同じ物を作るレストラン特有の悩みです。

そのため、新人のうちに先輩の味を盗み、いつでもどこでもその味を再現できないといけません。ここら辺はセンスの問題らしいですが、才能があるヤツはすぐにマスターするんだそうです。本当に、うらやましいです。